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2007年03月18日

 ○○差別はいけないことだと思いますか?このエントリーを含むはてなブックマーク

以前こういうアンケートを見てびっくりした覚えがある。凄い質問をするなぁと。
ある意味誘導尋問って言うか、書いた側もわからないで書いてるのか。

多分書いた人の頭の中では、このアンケートに「はい」って答えれば「そうですよね?ですから○○差別は是正しないといけませんよね?」ってことになるし、「いいえ」って答えれば「じゃあ○○を差別するのが正しいことだとあなたは主張するんですね?」という回答を持っているんだろうなぁと思うけど。

丁度はてなでも差別の話題がホットのようなので、しばらく前に書いてお蔵入りになっていたこのエントリーが丁度合致するので掘り出してみる。
(ホットな記事ってのは
顔を憎んで鼻を切れば、唇も消える: 差別とはすべからく人を対象としたものである/性差別の構造/売春は悪ではない/追記あり
顔を憎んで鼻を切れば、唇も消える: 道徳や倫理や社会秩序を重んじるのならば、本来なにより憎むべきは差別ではないのか
ここら辺ね)

僕らは普通、社会にあるいくつもの区別について、事実に反しているから、いけないよねってことを差別と呼んでいる。
悪い区別差別なのだ。
だから差別はいけないことだと思いますかなんて、意味不明な質問になる。
悪いことは悪いことですか?って聞いてるみたいなもの。

重要なのはそこじゃなくて、何が差別か?ということだよね。
差別は悪い。はいそうです。で、
何が差別になるんでしょうか?
そこが議論されるべきなのだ。
外国人を日本語が怪しいからといって雇わないのは差別ですか?とか
オリンピックで男女別に走るのは差別ですか?とか
感染病患者を隔離するのは差別ですか?とかさ。

差別ってさぁ、例えば筋肉ムキムキの女の人がいて、工事現場で一般男の2倍は働くのに、上の人がその女性に会ったこともないのに女の人だからってことで安い給料を出すようなことが「差別」なわけじゃない?
本人じゃなくてその人のカテゴリーを見て、その人の良し悪しを決める行為。
もしくは自分の思い込みで相手を評価することが差別だよね?

もちろん例えば(また女性のことになってすまないけど)女性のほうがかかりやすい病気がある、とか女性のほうが脂肪がつきやすい、という研究結果は差別になりえないし、同時に女性に筋力がつきにくいのも歴然とした事実であるわけだよね。
これを原因に土木業者が、例えば採用において体力テストを実施していて、結果として女性の採用を少なくしていても、それが差別であるとは言わないはずだ。
(もちろん女性だからという理由だけで門前払いになる場合は差別になりえる。女性にも筋力ある人や土木作業に誰にも負けない熱意を持った人がいるかもしれないから。もちろん状況まで詳しく考えなければ確定はできないことであるけども。)

今ホットなはてなの論争でもこういうことがあって
(っていうか言いたいことほぼ書かれちゃっててw)
*minx* [macska dot org in exile] - 「いかなる理由があっても差別してはならない」というトートロジー

まず yuki さんは、「いかなり理由があろうと差別をしてはならない」ということを大原則として提示しているけど、それを言い換えれば、差別を正当化できるような「妥当な理由」はありえないということ。さらにそれを逆転させれば、ある行為に妥当な理由が存在するのであれば、その行為を「差別」と呼ぶことは大原則に反するから間違いということになる。だから、「yukiさんの言うそれは『差別』ではない」という人はいても、「理由があれば差別しても良い」と言う人はいないわけ。

こういう指摘が、全然理解できてない人が小数にしろいるのが困ったものだと思う。
(はてな周辺には頭いい人が多いから、世間一般で見ればもっと理解できない人の割合が多いかもしれない。)

もちろんこの認識上で、理由があれば差別をしていいって言うわけでもないのも真だ。
どうしてかここを間違う人がいるんだけど、「理由があっても区別をしてはいけない」を否定したからといって「理由があったら何を区別してもいいのか!」と返すのはおかしい。
そこには理由が正当なのかとか、区別が妥当なのかという議論が入り込む余地があるからね。

例えば「性を商品化しているから」「売春は犯罪だから」というのが売春者に対する職業区別の理由として正当なのかどうなのか?を論じるのは非常に有益であるとは思う。
個人的に売春婦が性を売り物にしているからといって、ひとまとめにされて他の言われない差別を受けるべきではないとも思うし、そういう点では職業差別はよろしくないと思うし、そういうことで不当に傷ついている人が多くいるのはそのとおりだろう。
でも、まずこれは差別と言い切った上で、差別することは良いのか悪いのか?なんて意味不明な議論なんじゃないかなぁ。
そういう理論の破綻があることで差別の撤廃の運動が逆に阻害されている面も大いにあるのではと思うし。

関連エントリー

別の立場の記事も過去に書いてます。
対象はまた違いますが参考にどうぞ。
しっぽのブログ: 「クラブきっず」と吉良吉影問題
しっぽのブログ: 吉良吉影問題(フォビア問題)と常識の視点について。

続き

ちょっと言い切れてない内容があったので、今回の問題に特化して別エントリーを作りました。
しっぽのブログ: 差別と悪口

コメント

2361   投稿者: うんこ (2007年11月25日 10:24)

差別はいけない。差別は死ね

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(サーバーが見つかりませんの表示になることがありますが、
正しく投稿されてることが多いです。
落ち着いて確認してみてください。)

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