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2006年09月20日

 バトンについて、色んなタイプを生物として考えてみる。このエントリーを含むはてなブックマーク

かなり前からバトンが流行ってるけど、これほど見事なミームの例は無いよねー。

バトンそのものは自己複製機能だし。
自分を広めるために関心を持たせて宿主を集めるし。
宿主を自分を広めるための行動へ駆り立てているわけだし。
かなり生物に近い性質を持っていると言えるよねー。

宿主に与える被害を極力抑えて共存するという意味で不幸の手紙なんかよりずっと上級なミーム。
不幸の手紙が伝染病だとすれば、バトンは適当な大腸菌あたりかな。
シークレットなんちゃらとか、質問文が増えてくやつとか、既に進化の兆候が見えるのも面白い。


※ミームは、情報の複製単位と言われている物です。
簡単に言えば、形が無いものだけど、人の脳やブログに増える様がまるで生物のようなので、生物として考えるといろいろ面白い解釈ができる、というものです。
実体を持たないので、自分自身で増えることはできないので基本的には宿主を必要とします。(この特性から情報ウイルスと呼ばれます。別にそういうウイルスが本当にいるわけではないですw)

このバトンに意図的に進化プログラムを入れてやると面白いことになるかもしれないなーとか思いました。
バトンを渡す時に、「1つだけ質問文を書き換えてください」ってやっとくの。
そうすると質問文がどんどん入れ替わっていって、楽しい質問文のだけバトンが引き継がれるから、結果的に何か面白いバトンが出来上がるかも。
もしくは生き残ることを優先して、答えやすい質問分だけが残るのかな?
気になる。

ちょっとバトンのタイプを、生存や繁栄という観点から見てみる。

バトンという概念そのものについて

バトンというアイデアは非常に強いミームで、一部のバトンが廃れようともこのアイデアそのものはかなり生き残り続けると思う。
最初はブログとかで流行っていたのだと思ったけど、既に多くはmixiに移動したように思える。
生物に例えて言えば、mixiがバトンにとって繁栄しやすい土地で、バトンにとっての外敵(バトンをチェーンと判断して攻撃する人)も少ないというわけだね。
自らをバトンと名づけて同一の認識と、不幸の手紙やチェーンとは別という認識を宿主に植え付けたことは大きな繁栄に一役買ったと思う。
不幸の手紙は宿主を脅すことで繁殖をさせようとするタイプだけど、バトンはコミュニケーションという蜜を宿主に提供する代わりに繁殖を手伝ってもらうという、共存の形を取っていることは、高機能な繁殖方法だと言える。

※チェーンと判断する人を外敵扱いしているのは、あくまで「バトンにとって」という分析なので、怒ったりしないでくださいね?

ジェネレータの存在

バトンが存在する以上、バトンを生成している人がどこかにいる。
質量を持たないミームであるが故にこれは必然なのだけど、ジェネレータはバトンの広がりを利益と考える他に、コミュニケーションを利益とする。
つまりバトンは親元であるジェネレータに多きな利益をもたらすわけだけど、この利益が消えたときが、バトンの絶滅の時になるわけですね。
簡単に言えば、ブームが去って、バトンが広まらなくなって、コミュニケーションの手段にならなくなって、ジェネレータが飽きた時。

テーマバトン

上記のバトンの絶滅を回避するために必然的に生まれるバトン。
早い話が多種多様に(ジェネレーターレベルで)進化をし、いわば環境変異に耐えると言えるかな。
使用すればどうしても消費する「興味」という繁殖方法を、いかに上手く使用するかという観点と、近いコミュニティー内に多く回すという、ジェネレータの利得に大きく作用する機能もある。
1つのバトンの形ではなく、多種多様に存在するという概念そのものがミーム。

強制バトン

繁殖力を強化したタイプ。
見たら必ず回さなければいけないという、不幸の手紙に近い「強い害をもたらすミーム」と言える。
大方の病原菌が感染を繰り返すうちに沈静化するように、このタイプのバトンは一時期ぶわっと増えたきり今ではあまり見なくなった。
繁殖力が強くても宿主に害を与えるものは進化を生き残れないという、当然だけど面白い結果に。

シークレットバトン

繁殖方法と共に宿主への利益を強化したのがこの形。
中身を知りたければバトンを受けなければいけないという、強制バトンとはまた逆の観点で繁殖方法を持っている。
これがまた美しい(とか書くとマッドサイエンティストみたいだなぁw)システムを持っている。
まず宿主への興味関心が非常に強い。
また、バトンの内容を見る楽しみという利益を、今までのバトンは垂れ流しに全員に渡していたものを、宿主にならない人間には渡さないという形態を持っている。
これは今まで宿主になる人間にしか働きかけれなかったバトンが、宿主にならない人間を宿主にしてしまうというとんでもない機能と言える。
逆に宿主になる人間には、知的満足とコミュニケーションという利益を渡すことで、強制バトンよりも非常に高次元での両者に利益のある繁殖方法に成功している。

シークレットマイミクバトン

シークレットバトンを強化した、今のところ僕が知りえる中で最も完成された形を持っているバトン。
バトンの回答には自分の名前、質問文は不明・・・ となれば誰でも気になってしまう。
また人名を使うのでコミュニケーションという宿主への利益も大きくなる。
人名を書くのに抵抗を感じる人間もいるが、元々そういう場合あまり良質な宿主ではないので問題なし。
逆にこれを楽しいと思ったり、名前がよく挙がる人間は、強い繁殖力をもたらし、他のコミュニティーに繋がるハブとしての機能のある宿主である可能性が高い。
ピンポイントで宿主を選ぶという機能を持つことで興味の消費も抑えている。
弱点としてはテーマバトンとの併用が難しいので、ずーっと続けると「興味」を消費し尽くして絶滅してしまうのではないかなー?とも思う。

・・・ちなみに面倒なので僕はバトンをやったことないですw
バトンが善か悪かということを語った記事ではないのであしからず~

コメント

800   投稿者: 小泉 (2006年09月20日 11:14)

うーん楽しい分析でした。
バトンが不幸の手紙然としてるっていう指摘はちょくちょくありましたけど、自己複製能力を持つ擬似生物として捉えると、確かに面白いですね。変形バトン考えたくなってしまったw
オスバトンとメスバトンを作って、両方を答えた人は質問を一つ入れ替える権利と性別を決定できる権利を与えて世代交代させてみたい(これは全く普及しなさそうだけど)

ただ、バトンというミームは、もう環境が対応してきたのか、前ほどの繁殖力はありませんね。僕が生息してるのがmixiの中でも2ch区域なせいか(笑)バトンはやっても「誰かに廻す」っていう人はあんまり見ないです。

801   投稿者: しっぽ (2006年09月21日 00:37)

情報体のミームは生成がしやすい反面、どうしても時間による劣化が激しくて、
ブームと共に消えやすいようですねー。
今の世の中で最も長く続いてるミームは「宗教」でしょうかね。
ただ僕の周りではまだバトンをちらほら見かけますよ。

オスメスモデルはミームには不向きでしょうねぇ。
ウイルスなどの宿主を必要とする生命がオスメスを持たないということは
そういう繁殖方法にオスメスシステムはあまり合致しないと言えるはずです。
ウイルスに似たミームにもあまり有効にはならないでしょうねぇ。

805   投稿者: K (2006年09月22日 17:33)

一つだけ質問文を「追加」してください
っつーバトンならたまに見る
ただ中身が膨大な量になりすぎてみただけで萎えれる
1つだけ質問文を書き換えてくださいっつーのは面白いかもねぇ

807   投稿者: しっぽ (2006年09月23日 06:31)

好奇心や労力を磨耗するタイプは生き残れないということですね。
追加タイプは、さながら大量発生で自分の食べるものを失ってしまう虫に似てますね。

888   投稿者: wosa (2006年11月02日 16:08)

やっぱ君、おもしろいなー。

宿主がワームを能動的に生かしているという考えをすると、なんだか押井守の好きそうなテーマになるねえ。

891   投稿者: しっぽ (2006年11月03日 00:44)

うわーい、社長さんに誉められた

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正しく投稿されてることが多いです。
落ち着いて確認してみてください。)

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